就職氷河期世代@FIRE準備中 | 2026年4月19日
はじめに——希望通りではなかったスタート
1990年代後半、私は就職活動をしていた。
バブル崩壊後の不況が長引き、求人倍率は過去最低水準。「売り手市場」という言葉とは無縁の時代だった。希望していた業界には縁がなく、まわり道をしながら地方の生産工場の品質管理エンジニアとしてキャリアをスタートさせた。
あの頃の閉塞感は、同世代なら言葉にしなくてもわかると思う。「努力が報われない」と感じながらも、とにかく目の前の仕事を続けるしかなかった。
それでも、ひとつだけ「これだけは続けよう」と決めたことがあった。投資だ。
投資を始めたきっかけ——母の言葉と氷河期の不安
2000年6月、私は初めて株を買った。
きっかけは2つある。
ひとつは母親の言葉だった。伯父が上場企業の役員をしていた関係から、「株は資産として持っておきなさい」。子どもの頃から折に触れて言われてきた言葉で、投資を「怖いもの」ではなく「資産のひとつ」として捉える感覚が自然と身についていた。
もうひとつは、氷河期の就活で痛感した現実だ。「会社に頼り切った人生は危うい」という感覚が、当時の私には強くあった。自分の力でお金を育てる手段を持っておかなければ、という焦りに近い感情だったと思う。
投資の知識はほぼゼロだった。それでも、母の言葉を思い出しながら、少ない資金で最初の一歩を踏み出した。
当時、現在の妻と遠距離恋愛をしていたので、週末は図書館で株式投資本を読み漁っていた。
タイミングは、今思えば最悪だった。
26年間で経験した4回の暴落
ITバブル崩壊(2000〜2002年)
投資を始めた2000年6月は、ITバブルの天井のすぐ後だった。当時、日本の証券会社では米国株を買うことはできなかったため、日本株のみの運用。
ITバブル崩壊によって直接ダメージを受けることはなかったが、当時の日本株は1989年12月の最高値からバブル崩壊後の下落中の中でのスタートだった。
当時はインターネット専業証券が立ち上がり始めた時期。私は昼休みに電話で注文を出していた。当時は単位株のみでの売買だったので、一回の取引が数十万円だったので、私はドキドキしながら電話をしていた。
買った株はみるみる下がった。含み損が膨らむ様子を毎日眺めながら、「母の言葉を信じて大丈夫なのか」と何度も自問した。それでも売らなかった。売ったら負けが確定する、という単純な理由だったが、結果的にそれが正しかった。
資産の増減率でいえば、ピーク時から40〜50%近い下落を経験した最初の試練だった。米国株への投資は、この経験を経てずっと後になってからのことだ。
リーマンショック(2008年)
社会人として働き盛りの時期に訪れた、もうひとつの大暴落。
ちょうどこの頃、会社で確定拠出年金の運用が始まり、私はその2年目だった。始めたばかりの口座が見る見るうちに目減りしていく。「こんなタイミングで始めるのか」と苦笑いしながらも、スイッチングはしなかった。日本株での経験が「暴落は必ず回復する」という感覚を、すでに体に刻み込んでいたからだと思う。
資産は一時的に40%超の下落。それでも長期で見れば回復するという信念を、なんとか保ち続けた。
コロナショック(2020年)
2020年3月、わずか数週間で市場は急落した。
インドネシア駐在から帰国したばかりの時期と重なり、仕事も生活も慌ただしかった。正直、資産の動きをじっくり見る余裕もなかった。それが逆に功を奏したのかもしれない。狼狽する間もなく、相場は半年足らずで回復した。
下落率は一時30%超。しかし今回も売らなかった。
利上げ相場(2022年)
米国の急速な利上げにより、成長株を中心に大きく下落した局面。
これまでの暴落と異なり「すぐには回復しない」という空気が漂っていた。ポートフォリオを見直し、より分散を意識した構成に調整した。26年間で最も「頭を使った」相場だったかもしれない。
年間の下落率は最大で20〜30%程度。それでも長期投資の軸はぶらさなかった。
現在地——2027年FIREが現実的になってきた
4回の暴落を乗り越えながら投資を続けた結果、2027年のFIREが射程圏内に入ってきた。
資産の増減率で振り返ると、2000年の投資開始から現在までの累計増加率は数倍規模に達している。もちろん一直線ではなく、何度も大きく落ちながらの軌跡だ。
子ども3人の教育費という大きな支出が続く中でも、投資だけは細々と続けてきた。「続けること」以外に特別なことはしていない。ただそれが、26年という時間の力を借りて、ここまで来た。51歳でのリタイアを、今は具体的なスケジュールとして描いている。
このブログでやること
このブログでは以下を発信していく。
月次の資産増減記録 絶対額ではなく増減率ベースで公開する。数字の大小より「どう動いたか・なぜそうなったか」を記録することに意味があると思っている。
暴落時のリアルな判断記録 次の暴落がいつ来るかはわからない。ただ必ず来る。そのとき自分がどう考え、どう動いたかを記録として残したい。
FIRE準備の過程をリアルタイムで 2027年のリタイアまでの準備を、同世代にとってリアルな参考になるよう書き続ける。
同世代へ
氷河期世代の私たちは、スタートラインから不利だった。
希望通りの就職ができなかった人も多い。給料が上がりにくい時代に社会に出て、非正規雇用の問題や長時間労働を経験してきた世代でもある。
それでも、投資だけは続けられる。時間さえかければ、複利は働く。
「もう遅い」と思っている同世代やこれから資産形成を実践していきたい若者世代にも、このブログが少しでも参考になれば嬉しい。氷河期世代でも、諦めなければ届く場所がある。それを自分自身の記録で示していきたい。
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